八〇年代から懸命に円高対応に取り組んだ製造業に比べて、非製造業が遅れている感は否めません。製造業では大企業だけでなく、中小企業も大企業と一緒になって積極果敢に海外に飛び出し、工場を建設してきました。自動車の部品を製造する会社などはその典型例で、北米や東南アジアに続々と進出しています。これに対して、非製造業はどうでしょうか。円高による価格低下によって消費者の実質購買力が高まり、その結果、売り上げが伸びた時期もありました。最近も、東南アジアなどで生産した安い輸入品を積極的に扱って成功している企業はあります。しかし、全体として見れば非製造業の構造調整はなお十分に進んでいない、という意見が多いようです。例えば、流通業では、「メーカー→問屋(→二次問屋→三次問屋)→小売り店」といった複雑なシステムが依然として多く見られます。海外から安い商品を直接輸入して販売している企業に、価格面ではとても太刀打ちできません。このように、中小の卸売店や小売店が厳しい状況に陥っているのは、これらの業界にも産業構造調整を促す圧力がかかっていると言い換えることができます。ただ、産業構造の変革は、そこで働いている人の雇用問題にも直結するため、道のりは決して平たんではありません。